概要
当院では手術を受けられる患者様が手術前後でリラックスして待機・回復できるように回復室に個別のスペースを整えています。安全で適切な手術を行い、手術前後で回復室を利用していただくことで日帰り手術をご提供しています。
白内障手術
濁ってしまった眼のレンズ(水晶体)を取り除き、人工レンズ(眼内レンズ)を眼に挿入する手術です。患者様それぞれに適したレンズ(着色レンズやトーリックレンズなど)を用います。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術(水晶体再建術)
多焦点眼内レンズは、1つの距離だけ(遠方か近方のどちらか)でなく、2つ以上の距離(遠方~近方)にピントが合うように設計された眼内レンズです。
本手術のメリットは多いですが、少なからずデメリットもあるので、適応については御自身の希望や目の状態を把握したうえで相談して判断します。
当院では、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の診療に関して2017年3月より先進医療施設として厚生労働省から認定され、手術を実施してきました。
2020年4月の診療報酬改定に伴い、本手術は先進医療から選定療養に変更され、当院でも同年11月から改めて実施しています。
詳細につきましては、医師・スタッフにお尋ねください。
●使用レンズ(国内承認)
■ 焦点深度拡張型: TECNIS Symfony® OptiBlue® (Johnson & Johnson VISION)
■ 焦点深度拡張&乱視矯正型: TECNIS Symfony® Toric OptiBlue® (Johnson & Johnson VISION)
■ 3焦点型: AcrySof® IQ PanOptix® Trifocal (日本アルコン株式会社)
■ 3焦点&乱視矯正型: AcrySof® IQ PanOptix® Trifocal トーリック (日本アルコン株式会社)
*国内未承認の眼内レンズは、当院では取り扱っていません。
●費用
白内障手術の保険診療費と選定療養の費用が必要になります。
詳細につきましては、医師・スタッフにお尋ねください。
緑内障手術
ほとんどの緑内障では、まず緑内障治療点眼薬で眼圧を下げて、視神経への圧力を減らして視野が狭くなることを防ぎます。しかしながら、様々な点眼薬やその組み合わせによっても十分に眼圧が下がらない場合、副作用がみられる場合、使用している点眼薬数を減らしたい場合に眼圧を下げる緑内障手術を行います。
眼の中を栄養する水(房水:ぼうすい)の出口(線維柱帯:せんいちゅうたい)の目詰まりを解消する流出路再建術や、房水を眼の外に逃がす創口を作成する濾過手術を行います。レーザーによって房水の流れを改善するレーザー手術もあります。
低侵襲緑内障手術 (MIGS)
近年、眼圧下降効果と術直後の見え方の両立を求めたMIGS (Minimally Invasive Glaucoma Surgery) と呼ばれる傷が小さい緑内障手術が広まってきました。当院では、流出路再建術のひとつである谷戸式マイクロフック® (図A) を用いた線維柱帯切開術内眼法や白内障手術時に線維柱帯にiStent® (図B) という器具を挿入する水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術などを行っています。
適応・術式・効果の詳細については医師・スタッフがご説明します。
複合手術
患者様の状態によっては、上記の白内障手術と緑内障を組み合わせて行います。
手術前後の流れ(白内障手術の場合)
ステップ1【手術検討・相談】
眼の症状、白内障の程度、御本人の希望、その他の眼や全身の状態によって、手術の必要性を相談します。
手術日を決定し、それに合わせて術前検査日を調整します。
ステップ2【術前検査】(1回もしくは2回に分けて)
①眼に挿入する眼内レンズの種類や度数を決定するための検査を行います。
②手術方法、手術前後の医学的および生活上の注意点を説明します。
*全身に負担がかからない局所麻酔(眼だけの麻酔)での手術ですが、念のためにかかりつけ医(内科や外科や病院など)に情報提供を依頼することがあります。
ステップ3【手術当日】
お昼過ぎに来院していただきます。
術前の点眼・処置を行います。
手術を実施します。
術後短時間だけ経過観察します。
夕方帰宅できます。
ステップ4【術後検査・診察】
手術翌日は来院していただき、術後検査・診察を行います。
その後の検査・診察はそれぞれの方の状態によって調整します。
レーザー治療
網膜光凝固術
- 糖尿病網膜症や網膜動静脈閉塞症での血流が悪い網膜を光凝固して、新生血管を誘発する血管内皮増殖因子(VEGF)の放出を減少させて病状の進行を抑制します。
- 網膜変性、網膜裂孔、限局性網膜剥離の周囲の網膜を光凝固して、網膜剥離の発症や進行を抑制します。
後発白内障手術(YAGレーザー後嚢切開術)
白内障術後に眼内レンズを固定している水晶体嚢が混濁し視力低下や霧視感を来した状態が後発白内障です。その混濁した水晶体嚢をYAGレーザーで切開して孔を開け、再び眼底に光が通る状態にします。
虹彩光凝固術(レーザー虹彩切開術)
閉塞隅角緑内障眼の虹彩(瞳の周りの茶目)にレーザーで孔を開けて眼の中の水の流れを改善し眼圧を下降させます。急激な眼圧上昇(急性緑内障発作)の解除・予防にも有効です。
隅角光凝固術(選択的レーザー線維柱帯形成術)
開放隅角緑内障眼の隅角(眼の中の水の出口)にレーザーを照射し、水が流れ出る量を増加し眼圧を下降させます。最近では初期治療として点眼治療と同等以上の効果があると報告されています。
硝子体注射(抗VEGF療法)
加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病黄斑症、血管新生緑内障の病状を進行させる血管内皮増殖因子(VEGF)の抗体を眼内に注射し、病状の改善や進行を抑制します。
ステロイド後部テノン嚢下注射
糖尿病黄斑症、嚢胞様黄斑浮腫に対して抗炎症作用があるステロイドを眼球後方に注射し、浮腫を改善します。
睫毛電気分解(ラジオ波メス睫毛根焼灼)
逆まつげ(睫毛乱生)の毛根をラジオ波メスで焼却することで、睫毛乱生が生えてこないようにする治療です。
ボツリヌス療法
まぶた(眼瞼)の筋肉が勝手に収縮する眼瞼けいれんに対して、ボツリヌストキシンを精製した薬剤(ボトックス®)を上下の眼瞼に注射することで、眼を開けやすくして眼の症状を和らげる治療です。